劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト

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これまで舞台もTVアニメ版も未見だった作品。Twitter上で興味を引く好意的な感想をいくつか見かけたので気になり、直前の週末にTVアニメ全話を一気見、その翌日に劇場版前作「ロンド・ロンド・ロンド」を見て、準備万端の状態で映画館へ足を運びました。

しかし結論から言うと、残念ながら私にはハマリませんでした。脚本も、音楽も、声優さんの演技も、話題の演出も。そのことについて、自分の感性が鈍ったからなのか、それとも単に合わなかっただけなのか、そんなことを考えながらこの文章を書いています。

 

さて、ここでちょっと自分語りをしてしまうのですが、私はずっとアニメヲタクを続けていた訳ではなく、一時期全くアニメを見ない時期がありました。その頃にハマっていたのがまさに少女歌劇で、本作に出演されている富田麻帆さんや名塚佳織さんがまだ声優になる前に、リアルな舞台少女として出演されていたミュージカル作品も観ていますし、それらの作品にはとてもとても(!)思い入れがあります。なのでこの作品が少女歌劇を題材にしている時点で、「ハマりたい」という想いがありました。

ところが本作が描く世界感が、私が好きなものとは似て非なるものになっているが故に、TVアニメ版を見たときからもどかしさのようなものを感じていました。
本作では照明や舞台装置といった、舞台を特徴づけるものが演出上効果的に使われています。また、音楽も歌劇作品らしさを強調したものが多く使われていると思います。しかし、そこで強調されているのは舞台や歌劇とそれ以外の違いからくる特徴の部分であって、私が好きなのは、それを前提とした、舞台作品そのものの素晴らしさの部分なのです。何というか、これをきっかけに舞台を好きになってくれたらそれは嬉しいんだけど、私が舞台を好きなのはそういうところじゃない、というギャップがあるように感じました。
また、私が少女歌劇にハマっていた理由としてはもうひとつ、演者の成長の部分があって、当時はそれこそ初日と千秋楽の両方を観て、その成長に喜びを感じたりもしていました。これについては本作でも、メインの登場人物たちが、卒業を迎えるまでにやり残したことについてレヴューで決着をつけていく中で、成長を描いているとも言えます。ただそれも、描いているモノが違うのです。

 

でもそれならそれで、自分の舞台への思い入れに関係なく、作品そのものを楽しめればいい、というのもまた事実です。そして、おそらく本作を気に入った方の多くは、特徴的な演出と音楽の相乗効果に衝撃を受けたり、対決するキャラたちの感情のぶつかり合いやその想いを乗せた歌に心を打たれたりするんだろうな、というのは「わかります」。けどこの作品の魅力はきっと、わかることではなくて感じることで、私はそれを感じられませんでした。それが残念で、それが冒頭の自分の感性が鈍ったからなのか、それとも単に合わなかっただけなのか、という問いにつながっています。

 

なので、面白くないから見るな、などとは全く思いません。むしろちょっとでも興味のある人は、ぜひ見て自分なりの感想を持ってほしいな、と思います。