Aqours 5th LoveLive! ~Next SPARKLING!!~についての雑感

2019年6月8日と9日に埼玉メットライフドームで開催された「Aqours 5th LoveLive! ~Next SPARKLING!!~」。Day1は現地、Day2はLVで参加してきました。

まず最初に、5thライブを語るうえで、虹について触れない訳にはいきません。ただその話はそれだけでとても長くなってしまいそうなので、ここではライブの内容の話を中心に書いていきたいと思います。それと、個人的には今回の構成について、いくつか疑問に思う点がありましたので、そこも正直に書いています。ネガティブな意見は一切目にしたくない、という方は、読まない方がいいかも知れません。

 

今回は、静かに始まりました。
いつものキャラクター紹介も落ち着いたBGMで、これから始まるライブを盛り上げよう!という雰囲気とは少し違います。そして1、2年生が登場し、「僕ら走ってきた道は…」。2番からは3年生も加わります。
この構成は、今回が映画のストーリーをベースにしている以上当たり前とも言えるものです。しかし私はこの時点でまず、若干の「ずれ」のようなものを感じました。
「僕らの走ってきた道は…」は、映画の中ではいつも涙するぐらい好きな曲なのですが、それは舞台、ミュージカルを感じさせるからなんですね。だからこの曲は、舞台を観ているときのように、心の中を熱くさせつつも静かに聴いて、最後に大きな拍手を贈りたい気持ちになるんです。でもライブとして披露する以上、そうはならない。曲が始まるとみんなブレードを振るし、「Fu-!!」とコールも入れる。ただ、こればっかりは仕方がありません。だってみんな、ライブで盛り上がりたいもんね。

続いてまさかの「スリリング・ワンウェイ」。そして「青空Jumping heart」。ここは意外性はありましたが、それこそ、盛り上がることを意図した選曲で、気持ちが高まりました。

この2曲が終わった後に、最初のMCとコーレス。アジアツアーを途中離脱せざるを得なかった小宮さんが、嬉しそうにカメラに近づいて自己紹介セリフを言ったり、「ぶっぶーですわ」を全力でやり切る姿を見られて、それだけでこちらも嬉しくなります。Day1での「昭和のオヤジかよ!?」とツッコミたくなるような鈴木さんのお触り、Day2での諏訪さんの「ハグしよ」からの全員ハグ1回転も楽しかったですね。

で、この後が何故か「SKY JOURNEY」と「Daydream Warrior」。てっきり今回は映画ベースだと思っていたので、ここでこのクール曲2曲を持ってくるとは驚きました。

Aqoursはここで一旦引いて、キタっ幕間劇場! 4thでは浦の星交響楽団の生演奏があったため、今回はどうなるんだろうと思っていたら、とんでもなくパワーアップして帰ってきました。今までのどの公演よりもカオスで面白かったです。あと、あの拍手のパチパチって、絶対4thの手拍子→拍手を意識してますよね。そういうとこ、好きです。

ここからは衣装替えした3年生の3人が登場し、「逃走迷走メビウスループ」と「予測不可能Driving!」。車の形をしたトロッコに乗って披露された「予測不可能Driving!」での、ハンドルを握っている手の振り付けが印象的で可愛い!
引き続いて2年生の「Marine Border Parasol」と1年生の「ハジマリロード」。「Marine Border Parasol」は斉藤さんが生放送やラジオで言っていた通り、傘を使ったパフォーマンス。「ハジマリロード」はスタンド席を回るトロッコで、スタンドだった私はこの日一番近くで(と言ってもBブロックの真ん中あたりなのでだいぶ離れていましたが)高槻さんと降幡さんを見ることができました。コールが楽しいっ。

この後、短い劇場版ダイジェストを挟み、挿入歌の「Hop? Stop? Nonstop!」の披露。小宮さんの「デキナカッタコトガデキタリー」が聞けて本当に良かったです。でも十分聞き馴染んでいたからか、ライブで聞くと意外とあっさり受け入れちゃいますね。今回の階段のセットはこの曲を完全再現するためのものでもあり、個人的には、鞠莉ちゃんソロパートでダイヤさんがルビィちゃんを手招きし、両手でハイタッチするところが大好きなので、そこが見られたことが一番嬉しかったです。

で、2回目の幕間からの展開なのですが、これは私を混乱させました。「恋になりたいAQUARIUM」「君の瞳を巡る冒険」「未来の僕らは知ってるよ」とAqoursが3曲連続で披露してから(2日目は前2曲が「HAPPY PARTY TRAIN」「”MY LIST” to you!」)、続けてSaint Snowによる「SELF CONTROL!!」からの「Believe again」。それぞれのパフォーマンスは素晴らしいのですが、あれ?今Aqoursはイタリアから帰ってきて、ラブライブ!延長戦で「Believe again」という流れだよな……じゃあ、その間の曲は?と、頭の中が逃走迷走メビウスループ状態になってしまいました。

ともあれステージはラブライブ!決勝延長戦となり、Aqoursによる「Brightest Melody」。今回の衣装の中ではこれが一番のお気に入りです。早着替え前も後も違和感が全然なかったし、伊波さんの髪型が可愛い。

そして再びSaint Snowが登場しての「Over The Next Rainbow」。この曲は、その後のMCで佐藤さんも言っていましたが、とにかく田野さんのフェイクが美しく、心を揺さぶられます。また、3年生4人が前に出てきて歌うパートがあったりして、劇中で使われていないにもかかわらず、劇場版のストーリーに沿った歌であることを感じさせてくれます。また、3rdのときはまだ緊張が表情に出ていた佐藤さんが、4thを経て、堂々としたカッコいい鹿角理亞を見せてくれたことに、成長を感じました。

で、何とここで最後の挨拶。いやいや、挨拶ってアンコールの後でするんじゃないの?何で?とまたしても混乱。しかも今回は途中のMCや幕間が少なかったせいか、体感時間がとんでもなく短い。まだ半分ぐらいだと思っていたので、本当に戸惑いながら、皆さんの言葉を聞いていました。
2日間の中では、伊波さんの「好きなものをずっと好きでい続けるのが難しいことは分かっている」からの「私の始まりは『ラブライブ!』が好きという気持ちだけでした」が、まるで自分に問いかけられているかのようで、胸にグサリと刺さりました。また、小宮さんが「アイドルは永遠じゃないから追いかけたくなるのかもしれないけど、Aqoursは永遠であってほしい」と語った時、瞳を潤ませていたのも印象に残っています。

そしてアンコール前の最後の曲。1日目は「ホップ・ステップ・ワーイ!」だったのですが、2日目に発売前の「Jump up HIGH!!」を持ってくるとは。これは嬉しいサプライズです。視聴動画を見たとき、Aqours CLUBのCD曲としては、アニソンチックだったこれまでから雰囲気を変えてきたなぁと感じていたのですが、タオル曲だとは全く想像していませんでした。トロッコに乗ってタオルをぶん回す楽しそうな表情につられ、LV会場でブレードをグルグル回していました。あと、オフィシャルでタオルをグッズ化する際には、上下対称のデザインがいいなと思います(笑)。

ロッコでドームをぐるりと周り、ステージに集まったメンバーは一旦退場。そしてアンコールです。
アンコールではまず「卒業ですね」「Guilty!? Farewell party」「サクラバイバイ」の3曲が続きました。ここは個々の曲というよりも、スタンドから見た光景そのものが忘れられません。ユニットカラーに染まるアリーナと、それを囲む虹。その中で想いを歌に乗せるメンバー。ノリとしての一体感とはまた違う、本当に会場のみんなの心が溶け合ってひとつになったかのような感覚。

そして、劇場版ラストシーンからの「Next SPARKLING‼︎」の後、Aqoursは何も告げずにステージを降り、砂浜での「Aqours サンシャイン!」で、ライブは終わりました。


今回の5thライブ。手放しで「最高!」と叫べるかというと、私はそうではありませんでした。私はやはりアニメーションのストーリーとキャストの活動の重なりこそが、これまでのどの作品とも違うラブライブ!の魅力だと思っています。μ’sのFinalが「結果的にそうなった」ものだったとしても。だから、劇場版の物語がキャストとしてのAqoursの活動と重ならないことが明らかな中でも、今回の5thとしては劇場版の物語を追体験できるステージを期待していました。
しかし今回のセットリストや演出は、似ているけれど少し違う、まるで並行世界の「Over the Rainbow」を見ているような感覚でした。もっと言えば、その上にさらに、2ndのときのような曲中心のライブを重ね合わせ、多重露光させた世界のAqoursを見ているようでした。
「Believe again」の前に、そこに至る経緯の部分が流れない。そもそも作品の中心であった、3年生の卒業に関わる部分に触れない。それはある意味正解なのかもしれません。キャストとしてのAqoursは、今や劇場版のキャラクターとしてのAqoursに重ならないのだから、無理にシンクロさせても嘘になるだけ。まさに似て非なる並行世界。だから「Next SPARKLING‼」の前、「1」「2」「3」……に続き、「10!」と叫ぶことにも一切の躊躇はありませんでした。

最後の曲の後、9人は揃ってステージを降ります。ここから新しい道を走り始めるのは3年生の3人だけではなく、9人全員。そしてAqoursを続けるのも9人全員。それを示したのだと私は解釈しています。

 

そして、そういう感想を持った私に、伊波さんは真っ直ぐに問いかけるのです。「それでもAqoursのことを好きでいてくれますか?」と。


きっと全部、分かっているんですね。