舞台 銀河鉄道999 さよならメーテル~僕の永遠

「舞台 銀河鉄道999 さよならメーテル~僕の永遠」4月27日のソワレを観劇しました。舞台としては昨年6月~7月に1作目が上演され、今回はその続編となります。
今回はメーテル役として伊波杏樹さんがダブルキャストで出演されるということだったので、観劇の一番の理由はそこ。高海千歌でない伊波さんが舞台で演じ、歌う姿を観たかったので、今回チケットを購入しました。
 
さて、まずこういった作品の舞台化で最も気になる999号の表現ですが、これは素晴らしかったです。プロローグで舞台奥から999の先頭車両部分が出てきたときには「HAPPY PARTY TRAINかよ!?」と心の中でツッコミを入れてしまいましたが(笑) 、その後の車内の表現についてはまさに銀河鉄道999のイメージ通り。また、アルカディア号やクイーン・エメラルダス号の船内もアニメのイメージがそのまま舞台に登場したかのようで、とても感激しました。
そして、衣装デザインもまた素晴らしい。原作のテイストを活かしつつ、人が演じて違和感のないものに仕上がっていて、特にハーロックが無茶苦茶かっこよかったです。車掌さんの体型も見事に表現されていて、黒い影に光る眼、じゃなくてもちゃんとあの車掌さんに見えるところはすごいなと思いました。
 
ストーリーについては劇場版ベースになっていて、今回は機械伯爵との対決後からラストまでが描かれます。とはいえ、元のアニメで機械伯爵との対決後といえば、実質惑星メーテルの話ぐらいしか残っておらず、尺余りになってしまうので、1幕後半にエピソードが増えています (原作にある話なのかどうかは未確認)。ただ、これが正直ちょっと退屈で、幕間の時点では後半への不安がありました。2幕の方は盛り上がる展開もあって、持ち直した感があります。
全体的には、前作の舞台を観ていない私のような人間でも、元のアニメや原作を知っていれば、1本の作品として十分楽しめるようになっていました。最後に見たのは何十年前だ?という私にとってはうろ覚え具合が逆にちょうどいい感じだった気もします。全く知識ベースがない方は、せめてここに至るまでのあらすじと人間関係ぐらいは頭に入れておいた方がいいでしょう。ネタバレでつまらなくなる訳でもないので、事前に劇場版を見ておくのが一番いいように思います。
 
では今回の目的である伊波さんのメーテル、そして他の役者さん達はどうだったかというと、これも意外なほど違和感がない! メーテルといえば池田昌子さんの声が染みついている私でも、伊波さんのメーテルは決して「なりきりコスプレ」ではなく、その神秘性や内に隠された弱さが人間的に表現されていて、Aqoursのライブや生放送、ラジオで知っている伊波さんとは全く違う、メーテルそのものが動きや発声、表情で感じられました。鉄郎役の中川晃教さんはさすがに少年らしさの表現が少し気になりましたが、基本的な演技や動きがいいし、何より歌声が素晴らしくて驚きました。
他の方も、元々が「見た目は派手だけどキャラクターとしてはマンガチックでない」という雰囲気の人物が多いので、なるほど、松本アニメは舞台化に向いているのかもしれません。
個人的には、最近「アイカツフレンズ」にハマっていることもあり、蝶乃舞花役の美山加恋さんが演じられたクレアにも注目でした。さすが、幼い頃からその演技を認められていただけのことはあり、彼女もまた素晴らしい。クレアは今回の登場人物の中では可愛らしさ担当的なところがあるので、役柄的にも良かったです。
ただひとつ、とても残念だったのが、伊波さんのソロ歌唱パートです。何とマイクトラブルで、せっかく一番聴きごたえのあるシーンだったのに、ノイズ混じりの歌声になってしまいました。これは本当に惜しかったです。
 
全般的には、値段に見合った豪華な舞台で、日常を忘れて非日常を楽しむという舞台の基本的な楽しみ方ができた作品でした。
 
ちなみに余談ですが、今回の舞台が上演された明治座は、ロビーにお土産屋さん、幕間にお弁当といったタイプの今となっては珍しい小屋で、それも楽しかったです。前に来たことがあるかどうかの記憶は曖昧で、過去の上演履歴を見ると、近松心中物語を観たことは思い出しました。でも、それも20年ぐらい前の話ですし、ここで観たかどうか……。