観劇記録 Flying Trip Vol.14 「アンチイズム」

伊波杏樹さん主演の舞台。2日目を観劇しました。

内容の前に、まずストレートの舞台自体が無茶苦茶久しぶり(約20年ぶり?)で、入場したときの舞台の匂いにまずグッときてしまいました。やっぱ子供がいると親子で楽しめるミュージカルぐらいしかなかなか観られないので、この雰囲気はそれだけでワクワクです。あ、一応言っておくと、親子で楽しめるミュージカルの方も、私はそれこそ独身時代から1人で観にいっていたぐらい好きです。

ハコは約300で、雰囲気もいい。開演前の受付や物販スタッフの方の対応も非常に好感が持てるものでした。

座席は端でしたが、8列目で舞台全体も見やすかったです。

さて内容について。ここからはネタバレになるので、これから観る予定の方や、知りたくない方は読まないことをおすすめします。

 

 

 

 

 

 

 

ストーリーは現代劇で、小説家の事務所に勤める女性が主人公、九条菜々を演じる伊波さん。その彼女が寝ている部屋に男たちが侵入し、自殺に見せかけた殺人をしようとするシーンから始まります。

その後、時間が少し巻き戻り、最初のシーンに至るまでの経緯が、殺そうとしている側と殺されようとしている側の2つの視点で交互に描かれます。そこに菜々の小説の世界が絡みながら1つにつながり、元のシーンを経て、その先へ……という感じですね。

約2時間、休憩なしの一幕をダレることなく見せる演出、演技はそれだけで素晴らしいと思います。

 

ただ、個人的にはいろいろ物足りない部分があったのも事実(あくまで個人的に、です。念のため)。特に、最後に向かってみんな「いい人」になっちゃうのがちょっと唐突で、流れが腑に落ちないなぁと思いました。そこまでの展開や、内に抱える感情の表現から私が読み取れなかっただけなのかも知れませんが、大きなものに飲まれる人も、それなりの罪を背負いつつ、でも変われないまま生きていく、というのも人の哀しくて愛おしい部分だと思っているから、物語を終わらせるための感情変化のように見えてしまったんですよね。

伊波さんに関しては、Aqours 1stのMIRAI TICKETの時から、あぁ、この人は舞台が似合う人だ!と思っていて、そもそもそれが今回の観劇のきっかけでした。そういう意味で今回の作品は、ナチュラル寄りの演技をするように心がけておられたように見え、舞台で映えるだろうと期待していた声の張りや大きな表情がずっと封印されているのが何とももどかしく感じました。

その分、感情が溢れるいくつかのシーンは解き放たれた姿を見ているようで、とても美しかったと思います。

あと、ルビィちゃん、じゃなくてルビーちゃんが可愛かった(笑)。

それと、久しぶりに舞台を見てびっくりしたのが、映像をセットに投影させる手法がこのサイズのハコでも普通に行われるようになっているという事実です。それ自体は今年の夏に観たミュージカル「ピーターパン」でも採用されていて、笹本玲奈さんが演じられていた頃のセットと比べると進化したなぁと感心していたのですが、それがまさか普通に使われるようになっていたとは驚きました。

 

舞台は毎回がナマモノで、同じ脚本でも毎回違う魅力があります。特に若い方が多く出演される舞台では、公演期間が1週間を超えると、初日と楽日の公演は全くの別物。そういう意味でできればもう1回観たいなと思いました。けど独身時代ほどの金銭的余裕はないのが辛いところです。伊波さんの別の作品も観たいしね。

 

とまぁそんな感じで、すっかり眠っていた観劇欲が顔を出してしまいました。

で、昔注目していた役者さんが今も活躍されているのかな、とWeb検索をいくつかしてみたのですが、近年の作品には出演されておらず、引退された方も多いようで非常に残念に思いました。そんな中、私にとっては今年1番といっていいくらい驚いたことがあったのですが、それはまた次の機会に。