Aqours 4th LoveLive! ~Sailing to the Sunshine~ についての雑感

2018年11月17日と18日に東京ドームで開催された「Aqours 4th LoveLive! ~Sailing to the Sunshine~」。私は幸いにも両日現地で参加することができました。

下はその雑感となります。

 

今回のライブが発表されたとき、私の中にあったのは素直な期待ではなく、様々な疑問でした。

何故、3rdからそれほど間も空けず、劇場版も公開前で新曲もほとんどない状態で開催するのか?

何故、それが東京ドームなのか? ツアーにしないのか?

3rdまでのライブで、ファンが期待していたことは全部やりきったのではないのか? せいぜい、MY舞の衣装ぐらいなんじゃないの?

私はAqoursのナンバリングライブの大きな魅力は、あの曲、あのPVをどんな衣装で、どんなパフォーマンスで表現するのか、という期待に対する、それを上回る回答、というところにあると思っていたので、新曲がほとんどない状況で4thを開催する意味が見出せなかったのです。

せいぜい自分の中で思いつくのは、何らかの大きな発表をファンの前でする必要がある、くらいしかなく、テーマソングの雰囲気も相まって、それがいいものなのかそうでないのか、大きな不安を持っていました。

そんな気持ちで迎えた当日。

その演出に、私が4thをこれまでの延長でしか考えていなかったことを思い知らされました。

まず最初の驚きは、皆さんもそうだと思いますが、カトタツこと加藤達也さんの指揮による浦の星交響楽団の生演奏です。幕間アニメはμ’sからの伝統で、当然今回もあるだろうと思っていたので、生演奏で開幕と幕間を盛り上げるという演出は全くの予想外でした。またこの時点で、今回のライブがツアーにできない理由を理解することができました。

そして、4曲目。「君のこころは輝いてるかい?」「Step! ZERO to ONE」「恋になりたいAQUARIUM(2日目はHAPPY PARTY TRAIN)」と続いた後、何の脈略もなくここでこれ?というタイミングで披露されたのが、「少女以上の恋がしたい」です。けれどもこの曲が始まった時、私はファンミで逢田さんが「ライブで最後まで9人で歌ったことがない」と言われていたのを思い出しました。そして今回のライブは、スタッフもキャストも、TVシリーズ終了までのラブライブ!サンシャイン!!のライブの集大成として、ホントのホンキで、やり残したことを無くそうとしているんだ、ということが分かってきました。2ndライブでは衣装替えの都合で途中で6人編成になった。だからこそ、9人で歌い切りたかった。そのための選曲であれば納得です。

続いて「青空Jumping Heart」の次に披露されたのが、「決めたよHand in Hand」の制服バージョン。これも1stでは「ダイスキだったらダイジョウブ!」の衣装でしたので、やり残したことの1つですね。2日目はその「ダイスキだったらダイジョウブ!」にセトリが変更された訳ですが、これも1stでは次の「夢で夜空を照らしたい」への衣装替えのため、ちょっと大き目なアレンジだったドレスをきちんと作り直しての登場となり、ホンキが伝わってきました。

そして次に1年生組の「Waku-Waku-Week!」、3年生組の「G線上のシンデレラ」と続く訳ですが、1年生が登場した時の衣装を見た瞬間、気持ちの半分は2曲後に披露されるであろう曲へと持っていかれていました。

舞台上に現れたピアノ、そこに座る逢田さん。

想いよひとつになれ」が4thで再度披露されるのは、私を含め、多くの人が予想していたと思います。またそこで、1stのリベンジとして再度ピアノにチャレンジするのか、それとも9人バージョンでの披露となるのか、これについてもいろいろな予想、期待があったかと思います。しかしライブは、そこに新しいストーリーを加えるという、全く新しい形でそれを見せてくれました。これは本当に衝撃的で、しかもそれはラブライブ!のシンクロの新しい姿で、特に1日目、逢田さんが伊波さんの手をギュっと引き寄せて握りしめたシーンはとても強く、強く心に残りました。

この曲については、1日目は緊張した表情だった逢田さんが、2日目でとびきりの笑顔だったのもとても素敵でした。おそらくは自らの意思で、表現の方法をわざと変えられたのではないでしょうか。この曲に関しては、2日間を通して、1stを乗り越え、そして9人の曲として新しく生まれ変わったような気がしました。

やり残しという意味では、「聖なる日の祈り」、「ジングルベルがとまらない」はもちろん、最初にも書いた「MY 舞☆TONIGHT」の再現もとても素晴らしく、幕間の時間でこの衣装と髪型のチェンジをやってのけたスタッフの皆さんの力も本当にすごいと思いましたし、ただただ感謝しかありません。この後の「待ってて愛のうた」「未熟DREAMER」も、MY舞の和装を活かすための選曲だったのだと思います。

この後、ライブは幕間を挟み、クライマックスへと向かいます。船とともに登場したAqoursは1日目に「MIRAI TICKET」、2日目に「WATER BLUE NEW WORLD」を船上から歌ってくれた訳ですが、この演出も予想外でした。というのはもちろん、船そのものもそうなのですが、船の上ということで、ダンスに大幅なアレンジが入っていて、アニメーションとシンクロしていない、つまり、シンクロよりも舞台演出を優先させるという選択をしたことがとても意外だったのです。今までアニメーションとのシンクロを追求してきたラブライブ!のライブが、ここで新しい方向へと歩みだそうとしているかのように感じる演出でした。

そして曲は「キセキヒカル」「Awaken the power」「No.10」と続き、「ユメ語るよりユメ歌おう/勇気はどこに?君の胸に!」がアンコール前のラストとなりました。

「キセキヒカル」は、ある意味4thの形が本当のあるべき姿と言えると思います。劇伴をベースに作られた曲を、劇伴作曲の加藤さんの指揮による生演奏で歌うというのもまた、違った意味でのシンクロでした。「Awaken the power」については、当日、佐藤さんがスタァライト九九組のイベントに出演されないという情報が流れており、こちらに来られることは予想していたのですが、盛り上がりがとにかくすごい!! ラブライブ!サンシャイン!!の楽曲の中では、私はこれが一番テンションの上がる曲で、大声でコールするのが滅茶苦茶楽しいし、一体感があって大好きなのです。また、田野さんのMCはいつも、会場を上手く煽りつつ、Aqoursメンバーとはちょっと違うお姉さん視点でライブを捉えているのが素晴らしいなと思います。

「No.10」は……楽曲としては嫌いではないし、みんなで歌えたのはよかった。けど、あの手(笑)。グッズ売り上げが大切なのは分かるけど、あのせいで今一つ感情が乗り切れなかったのが正直、残念でした。

ユメ語るよりユメ歌おう/勇気はどこに?君の胸に!」についてはもはや定番。Aqoursの皆さんが楽しそうに歌われている姿を見て、会場全体に楽しい気持ちが広がりますし、そこに、この時間がもうすぐ終わってしまうという切なさが加わって、感情が揺さぶられるというか、それこそ胸が熱くなる曲だと思います。

この後、Aqoursコールを受けてアンコール。「未来の僕らは知ってるよ」からの「WONDERFUL STORIES」です。ここで「WONDERFUL STORIES」が披露されたのは、TVアニメのエピローグ曲であることを考えればある意味当然なのですが、もうひとつ、ここまでですべての楽曲衣装を再現したことにも意味があるように感じました。というのもそこから作り手側の、「WONDERFUL STORIES」さえも、このライブで完全再現させようという意図を感じたからです。この曲は千歌の心の中を表現していて、これまで作中に登場した衣装が次々と切り替わる演出が印象的でしたが、これをそのままリアルに再現することは、プロジェクションマッピングがさらに大きな進化を遂げでもしない限り絶対にできません。しかし、1stからここまでのAqoursキャストの歩みを思い出しながら彼女たちを見ることで、脳内ですべて、ちゃんと再現できるようになっています。そしてこの曲は、TVアニメを通じてAqoursが駆け抜け、そして見つけた輝きを歌っています。それはシンクロという意味においても、東京ドームのμ’sファイナルライブで見つけた輝きが、自分たちの中にもあると最初は信じられなかったキャストの皆さんが、それでもがむしゃらに駆け抜けて、この場所にたどり着き、改めて、ここまでの時間のすべてが輝きだったと心から思える今とちゃんと繋がっています。

厳密にいえば、3年生の旧Aqours衣装が未再現だったりもしますが、それはさておき、この時点で私の気持ちも、Aqoursを追いかけ始めたときからのすべてがあふれ出してくるような感覚を覚えました。

そして本当の最後に、告知と挨拶の後、歌われた「Thank you, FRIENDS!!」。この曲におけるFRIENDSの意味は、キャストとファン、キャスト間、キャストとキャラ等、様々な捉え方ができるようになっている訳ですが、ステージではそのどれもが表現されているように見えました。また、この曲だけはステージ上でキャストとキャラが離れることを是とし、向かい合う形になっているせいか、何と表現したらいいのかわからないのですが、他の曲とは違う雰囲気が感じられました。指で輪を作って組み合わせる振り付けも印象的でした。

さて、そんなライブを通し、思ったことなのですが、結局のところ4thの意味は、これで今やれることは本当に全部やりきった。「想いよひとつになれ」も解放した。そして今回を区切りとして、Aqourasはこれから、ラブライブ!が今までやらなかったことにも挑戦する。これを高らかに伝える場として、東京ドームを選んだのではないかということです。

いやまぁしかし、ずるいよね、ラブライブ!は。今回のテーマ曲をアップテンポにしなかったのって、絶対にブラフを狙ったところもあったと思います。はい、見事に惑わされました。

MCに関しては、1日目は小宮さんの「ちゅき」がとにかくインパクト抜群でしたね(笑)。そこからのダイヤッホーを忘れるところがまた、小宮さんらしい。2日目は斉藤さんの力こぶと、それにバカウケする伊波さんが面白かったです。最後のあいさつでそういうことをやっちゃう斉藤さんの若さ、キラキラはいつも眩しいし、個性が出ていていいなと思います。

あとは、泣いていない宣言をした鈴木さんが、やっぱり最後の最後に泣いちゃうところも可愛かったです。他のキャストも泣いていたし、さすがにあそこは泣いちゃいますよね。

そしてそして、ダブルアンコールからの最後の一言については、私にはうまく文章にすることができません。5万人の静寂と、そこに響く生の声。気持ちが伝わって、伝えられて、それでも何度でも伝えたい。それがあふれ出した最後でした。

 

さて、この4thライブですべてを出し切り、新しく船出したAqoursはいったいどこへ向かうのでしょうか? これについてもいろいろと思うところがあるのですが、さすがに長くなりすぎました。それはまた次の機会に。